学生アルバイトと労働法

この論文は2006年2月3日に提出した学位論文です。

2006年7月1日にWeb上で公表しました。

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論文の紹介(「はじめに」より)

高校生・大学生のアルバイトが労働の現場で権利侵害に遭っている。使用者が労働基準法などの現行法を疎かにしていること、使用者の違法行為に対する基準監督、あるいは取り締まりが行われていないこと、また、現行労働法は学生アルバイトにとっていくつかの問題点があり、法的保護が不十分であることがその原因である。

政府は学生アルバイト問題について特に対策を講じていない。非正規労働者に対する政策はこれまでどのようなものがあったか。政府は、男女の雇用の格差を是正するため、1986年に男女雇用機会均等法を制定した。若年者に対する労働政策として、2001年12月から若年者トライアル雇用を実施し、2003年6月には若者自立・挑戦プランを施策した。他にも労働者派遣法が制定されるなどといった政策が挙げられる。政府の非正規労働者に対する政策は、とりわけ主婦パートやフリーターや派遣労働者に焦点を当ててきたといえるが、学生アルバイトの権利保障に対しては正面から取り組んでこなかったのである。

使用者の学生アルバイトに対する権利侵害を取り扱った先行業績として、龍谷大学の萬井隆令教授が担当するゼミナールにおける研究が挙げられる。萬井隆令教授の監修のもと、学生アルバイトに関わる法律的な問題をまとめた『バイト・フリーター110番』(かもがわブックレット,2003年)が、ゼミナールの研究成果として出版された 。同著は多数の相談事例を元に構成されており、学生アルバイトに対する権利侵害が明らかになっている。また、権利侵害について、現行法上どのように保護されるかというような助言も個別具体的に記されている。

学生アルバイトに対する権利侵害は上述の先行業績等によって認知されてきているが、どのようにして使用者の権利侵害を防ぐか、などといった発展的議論には至っていないようである。本稿では、その発展的議論の端緒となるべく、学生アルバイト問題について述べていく。議論の前段階として、上述の著書等から学生アルバイトの実態・特性と、具体的にどのように権利が侵害されているかということを把握し、学生アルバイトの現行法による法的保護の状況と学生アルバイトに関わる諸制度について述べる。その上で、学生アルバイトの特性に見合った新たな法的保護を検討していきたい。


最終更新日:2006年7月1日 Copyright (C) 2006 kuromiya